テッポウムシ

知っている人も少なくないと思うがカミキリムシの幼虫の俗称である。
成虫になって羽脱する際鉄砲の弾が打ち込まれたような丸い穴を開けることからそう呼ばれる。
もっとも実際に鉄砲で撃たれた木を見たことがある訳ではないが・・・。
しかしそれが生きている木の場合には鉄砲以上のダメージである。

シロスジカミキリやゴマダラカミキリなど生木食のものは樹木、ひいては農家にとって大変な害虫で死活問題といっても決して大袈裟ではない。
幼虫の食害によって弱ったところに止めをさすように大穴をあけるのだから若木であればひとたまりもなく枯れてしまう。

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テッポウムシといえばもうひとつ、「食べられる」ということである。
もっともただ単に「食べることが可能」という意味では毒を持った虫でないかぎり大概の虫は食べることができるのだろうが、ここでは「古くから食べる習慣がある、もしくはあった」という意味である。
まあ地方にもよるだろうが他のアジア諸国に比べ、昆虫食文化のほとんどない日本で少なからず食べられてきたということはそれだけ美味ということだろう。

親カミキリのほうも幼虫が成長していくのに十分な太さの木を選んで産卵しているようだが中には親指大の太さの木にも産む時もあり、幼虫が成長途中で枯れてしまい共倒れになってしまう。
木のほうにも防衛手段がないわけでなく、産み付けられた卵や若令幼虫をヤニや樹液で溺れさせて殺してしまう。
そこで親カミキリは卵を守るような産卵加工を施したり、樹液を出せないような弱った木を選んで産卵する。
当然のごとく樹勢の衰えた木にはカミキリ集まり多くの幼虫によって枯れてしまう、やはり共倒れである。

彼等もいろいろと苦労しているようである。
余談ではあるが食害された部分に滲み出た樹液でヒラタやコクワガタを見つけたこともあった。

ハチの仔やイナゴのようにメジャー(?)ではないが経験のある人はけっこう多いようだ。
さすがに今ではテッポウムシを食べる人もほとんどいないと思うけど、私の近所の人の多くは1度や2度は経験があるはずだ。
私も2・3度食べたことがあるが、わりと美味しかった。
調理方はフライパンで炒めるだけ、ちなみに同じようにしてボクトウガの幼虫も食べたことがあるがどちらもスナック菓子のようだった。

今でも食べようと思えばなんでもないことだがそんな機会もなく、ごくたまに無傷の幼虫が捕れたときは娘の飼っているハムスターにあげている。
娘はいやがって怒るがハムスターは貪り食っている。
かなりのご馳走のようだ。

食害されたミカンの木、
ここまで進むとヤニや樹液も出せない。

大きく育ったゴマダラカミキリ幼虫。