キョウチクトウスズメ
熱帯性の美しいスズメガで、もちろん元来日本には生息していない。
ところが台風の風に運ばれたりするのだろう、しばしば国内で採集されることがある。
この蛾に限らず南方から迷い込んだ昆虫は冬を越せずに死滅するか、繁殖したとしても1〜2年でいなくなってしまうのが普通だそうだ。
キョウチクトウスズメが採れたニュースもそれまで何度か聞いたことはあったのだが、1999年だったと思うがこの蛾の幼虫が大発生しているとある地方紙で報じられた。
幼虫ならば簡単に探せるだろうと新聞に載っていた某小学校へ行ってみた。
小学校に着いたのは夕方で授業はとっくに終わっていたが校庭には十数人の児童が遊んでいた。
職員室らしき窓からは先生方の姿が伺えたが特に気にせずカメラ片手に正門から入っていった。
校庭に沿って数十bにわたりキョウチクトウが植えられていて端から順番に見ていくと程なく幼虫を見つけることができた。
実物を見るのは初めてだったが新聞でその写真を目にしていたし、なにより猛毒のキョウチクトウを食べるのは国内では他にいないらしい。
それにしても迫力のあるイモムシである、大きさもさることながら頭部近くにある青い目玉模様がなんともいえないほど異様である。 苦手な人は見ただけで三日三晩うなされるに違いない。
生徒達の中には虫の嫌いな子もいるだろうし、そもそもこんなイモムシがすぐそばにいることも知らないかもしれない。 知らないほうが幸せかも・・・。
それより毒のある樹が校庭に植えられているというのはどうなんだろうか、子供というのは時として想像もつかない様な事をしでかしたりするからそのあたりの注意は徹底してもらいたいものだ。
先生方お願いします。
で、なにが言いたいかというと、「あのころは平和だったんだなあ」ということ。
そりゃあそうだ、今そんなふうに小学校に入って行こうものなら不審者侵入と通報され「刺又」とかで取り押さえられるかも知れない。 ましてカメラなんか持っていたら変質者扱いされ、虫の写真を撮りに来たなどと言い訳も通用せず少なくとも警察の事情聴取は免れないだろう。
道端で撮影していると「こんにちは。」と挨拶してくれた小学生がいた。
草むらにカメラを向けてしゃがんでいる変なおじさんに・・・。
自己防衛の意識を持つことも大切だと思うのだが子供達の目に「人を見たらドロボウと思え」的なフィルターがかかっていくのはなんともさみしい。