2011年 6月 超艦隊のハンター
11.06.30 (木)
実に・・・2年ぶりの採集記です。
いきあたりばったりで虫との出会いを求めるといったスタイルは今シーズンも変わらないのだけど、たまには計画的にミッションをクリアしてみたい。
潮が引いてできる砂礫地で生息するハンミョウがいます。
和歌山県を東限とし、西日本でも生息地はごく僅かだそうです。
名前をヨドシロヘリハンミョウ、大阪の淀川河口で最初に発見されたたゆえの名前ですが現地では絶滅してしまったとか・・・。
ちなみにタイトルの超艦隊は潮間帯の誤変換です、すみません。
生息環境を想像すると潮干狩りの感覚で予定を立てるのがいいだろうと、大潮の干潮時を狙うことに・・・。
本日の干潮はam11:14・・・だったと思う。
am7:00、高速に乗る。
K-ポップを聴きながら Gee Gee Gee と南下。
いつもながらトンネルばっかり
約2時間で現地に到達、虫採りではちょうど1年ぶりの紀南です。
さすがに大潮、すでにかなり潮が引いています。
適当なところに車を止めて長靴に履き替え川原へ・・・さて見つかるでしょうか?
向こう側が海です
ついさっきまで「汽水域」だったところをジャリ ジャリと歩きます。
炎天下になりつつある足元からは熱気が立ちのぼりハエが舞い上がって不快指数はけっこう高い。
山地のブヨやアブに比べれば実害はないけどそうそう何時間も粘れる気温じゃあない、早めに結果を出したいところです。
そんなことを考えている内に川原の端っこまで歩いてしまった。
振り返るとさらに潮がひいているのがわかる。
もう少し潮が引くのを待つか、別のエリアに移動するか・・・。
どんどん集まってくるハエを眺めながら思案していると・・・あきらかに動きの違う虫がいる。
その動きから目的のハンミョウであることはすぐわかったが想像してたよりはるかに小さい。
しかも、日差しの強いほとんどモノクロームの世界ではせわしなく動き回る小さな虫の詳細を肉眼で捉えるができない。
なんとなく白い縁取りがあるように見えたのでカメラを用意。
ここでは匍匐前進と言うわけにもいかないので普段は使わないレンズを装着、ちなみにバーゲン品。
ちょっとハエで練習・・・
・・・ピンボケ
カニなら・・・
・・・・
安物のレンズ・・・ 下手はすぐ道具のせいにします。
さて、肝心のハンミョウは
位置を確認してファインダーを覗くと・・・もういない。
一箇所にとどまっているのはせいぜい2〜3秒、見失っては探してまた見失う。
そんなことを繰り返しているうちにその移動範囲がそんなに広くないことがわかってきた。
3〜4メートル四方を動きまわり、こちらがじっとしているかぎり大きく飛び去ることはないようです。
シロヘリが確認できます
ハエを狙っているようにも見えるがハエを捕らえた、あるいはなにか獲物を咥えた個体は見つけられなかった。
その大きさから考えてハエ以外のもっと小さい何かをエサにしていると思えたがその「何か」は見つからず、カニとハエがいるだけ。
ハエは少し大きすぎる気が・・・
ハエに向かっていくのか、向かう先にハエがいるのか・・・そのくらいハエだらけ。
約1時間、もう汗だく。
他のエリアも見てみようかとも考えましたが、帰りの時間もあるので一応ミッションクリアということに。
帰りもトンネル
往復に4時間、滞在時間が1時間。
弾丸トラベラーのようですが、これほどあっさりとヨドシロヘリハンミョウに出会えるとは思いませんでした。
それだけ生息エリアが狭いということでしょう。
ただでさえ昆虫には過酷な潮間帯、その周辺は洪水や台風による高潮によって何度も水没したことだろう。
それでもここに砂礫地がある限り絶えずに命を繋いできた・・・。
他の生息地で絶えてしまったところはその原因が「開発」という人的要因であった。
なんとなく東日本大震災と原発問題と重なってしまう・・・大袈裟かもしれないが・・・。
その昔、この地にも原子力発電所建設計画がもちあがったことがあったから洒落にならない。
ますます交通の便が良くなり、紀南が近くなる・・・。
ほとんどの人が気がつかないこの小さなハンミョウ、このままずっと気づかれずにここで生息しつづけていくのを願わずにはいられない。