2009年 7月 霧のガーディアン
09.07.17 (金)
1年振りの採集記になります。
実は・・・密かに憧れていた虫があります。
ヒゲナガゴマフカミキリ
普通種ながらそのスタイリング、その迷彩模様、いつかは出会えるだろうと毎年数回ブナの森を訪れるも今まで縁がありませんでした。
先日、ある方からポイントを教えて頂き、先週はその姿を確認しながらもう少しというところで取り逃がしてしまいました。
今回は先週より気象条件が悪いけれどダメもとはいつものことだし・・・。
教えてもらったポイントは今まで通っていたポイントへの途中にあり、しかも所要時間は半分くらいで到達できるのがなにより嬉しい。
自宅をでる時の曇り空は現地ではどうなっているでしょうか。
交通量がほとんどないからいいようなもののまともに走れないくらいの霧。
本当は「 雨上がりの晴れ間」 というのを期待していたのですが・・・。
とにかくせっかく来たことだし、待ってみても霧が晴れそうにないのでライト片手に小雨降る中を林内へ入ります。
さすがに薄暗く、倒木のある所だけが明るくなってなにやら幻想的です。
先週はこの倒木の枝先にいたのですが高い位置だったため落とした時に飛び去られてしまいました。
さて今日はどうでしょう。
倒木の裏、枝先と丁寧にチェックしていくと・・・触角の長い虫。
うーんゴマフ違い、でもこのタテスジゴマフもお初なので嬉しいところです。
かなりの時間をかけて大きな倒木を一回りしましたが他に虫は見えず・・・ただそんな中でもブヨやハエは容赦なく纏わりついてきます。
他にも立ち枯れがあるのでそっちをチェックしていると影になった側に黒いカミキリ。
逆光でよく見えないけどノコギリカミキリ?、でも灯火以外で見るのは初めてなので一応撮影。
モニターで確認してみるとこれもお初、コバネカミキリでした。
後で調べてみて分かったのですが本種は薄暮時に活動するらしく、この天気が幸いしたのかも知れません。
それにしても本命が見つかりません、他のカミキリはいるのに・・・。
前回も本命に逃げられた後にトラフホソバネを2頭・・・というようなことがありました。
もしかしたら網膜には映っていてもその迷彩ゆえに気づかないだけ?
そう思いもう一回倒木をひとまわり。 やっぱりいません。
やはりこの霧じゃあ無理ないかも・・・そうしている間にシャツやズボンがかなり湿ってきて肌寒くなってきたのでポイントを変えることに。
以前見つけていたイケマ、イケマと言えばホソツツリンゴ。
県下ではなかなか見られないそうなので見つけられればもうけもの。
というわけで車で移動。
途中満開のノリウツギも静かなもの。
途中の崖崩れ、山の雨を甘く見てはいけません。
道端の倒木、春にはキオビホソナガクチキムシがたくさんいました。
赤い枠をズーム
さらにズーム
あっ、こんなところに
いらっしゃったのですか。
思わぬところで見つけただけにかなり興奮します。
しかし低い気温のせいか終始微動だにせず落ち着いて撮影できました。
同じ倒木上でも下界で走りまわって少しもじっとしていないトラカミキリの類に比べるとなんと良い虫であることでしょう。
この触角の長さ、カラーリング、なんとも言えません。
ただ、肢が妙に長いのでクモのようではありますが・・・。
これで目的も果たせたし、雨も止む気配がないし・・・と思ったのですがここまで来たらイケマまであと少し、予定通り見に行きます。
咲いている花もありましたが虫の姿は・・・以下同文。
そこそこ蔓の太い株もありますがカミキリは見えず、産卵痕らしきものも見えません。
染み出た乳液が雨で流れたのかも、と斜面下からかなりの株を葉裏も見ていきます。
でもイケマってここでしか見たことが無いのでカミキリのついているイケマがどの程度の株なのか分からないのが不安です。
この頃になると肌寒いどころか本当に寒くなってきました、替えのシャツももってきてないのでしかたなく撤収。
帰り道、これも道端に積み上げられた伐採木、雨が強くなってきましたが行きに気になっていたので一応・・・やはりなにもなし。
と、足元に。
初めてのコブ、叩かない・掬わない・崩さないの三拍子そろった私には縁のないカミキリだとおもっていただけにめちゃくちゃ嬉しい.
初めて実物を見ましたがなんだかチョコエッグから出てきそうな質感です。
良く分かりませんがセダカコブヤハズカミキリでしょうか。
それまでの寒さを忘れた一瞬でした。
気象条件から考えると自分としては十分満足いく採集行となりましたが、やはり晴れの日に来たくなりました。
ノリウツギの咲いているうちに・・・。