2007年 6月  黒沢山



07.06.12 (火
)  名誉挽回 
                                                                                                  

前回の遠征から1週間、課題を何一つクリアできなかった情けなさからスッキリしない日々をすごしてきた。
そこで今回は確実にターゲットを捉えたい、とは言ってもどこにでも居るような虫では意味がない。  できれば片道1時間位で行けるところにしたい。
そんな甘い考えだから虫が見つからないんだな。  
よくよく考えたが読みの甘い私が未採集の虫を狙ったところで採れるとは思えないのですでに一度採集経験のある虫と再会・・・ということにしよう。
前回クビアカモモブトホソカミキリとアカスジキンカメムシでスカをくらったのを忘れたわけではないが・・・。



ニシキキンカメムシ


この虫なら発生時期もあってる(と思う)し、2年前に確認済み。 去年は全く見られなかったが、気合をいれて探せばなんとかなるだろう。  なんといってもポイントまで1時間どころか30分位で行けるのが嬉しい。

目的地があまりに近場なので午後からの出発。 PM1:00には現地に到着した。
ターゲットはツゲの木につく、しかしツゲはツゲでも実が付いている木でなければ彼等は集まらない・・・・自身の経験上。

 ツゲの木と実。


一昨年はこの実から吸汁しているのを見たが今回はというと・・・実はたくさんついているものの目当ての虫がいない。  あたりの木をくまなく探しても何の虫も見られない。
発生時期は間違っていないはずだから昨年に続き今年も見られないとなるとちょっと心配になってくる。   まあ絶えてしまったということはないだろうけど・・・。

しかし今回はしかたなく諦めるなどというわけにはいかない。  なんらかの成果をあげねば・・・「あなたはやればできる子なのよ。」と自分に言い聞かせてみる。
幸い県下にはもう一ヶ所ニシキの産地があり、そちらのほうがポイントとしてのエリアは大きい。
あまりに有名な産地なのであえて地名を記すがニシキの初記録地でもある黒沢山である。  そこでも以前確認済み、5年も前だが・・・。

時計を見るとまだ時間も早い、黒沢山まで1時間半といったところか。 探す時間は十分あるはず・・読みが甘い・・かな・・。

黒沢山


ここにはかなりのツゲが自生しているが小さな木には実が付いていないので背丈以上の木を探す。  ・・・・と、葉陰でメタリックなやつが。

 実を吸汁するニシキキンカメムシ


2年ぶりに見たニシキはやっぱり美しい。
とにかくこれで一安心、スカをくらわずにすんだ。

その後他のツゲでも



青っぽい個体や赤っぽい個体、微妙に色合いが違うのが計7個体見つけることができた。 産卵や幼虫は確認できなかったが、やはり発生の序盤なのかも。

課題をクリアすることができたため少し余裕が出てきて他の樹木にも目が向く、すると

 ソヨゴ

先週紀南ですでに花の咲き終わっていたソヨゴがここでは半分くらいの開花。   一応ルッキングしてみたがトゲヒゲトラが1頭いただけ。  やはり甘くはない。

 
ラミーカミキリ

このカミキリは実家のまわりにも普通にいるが見られるようになったのはここ2〜3年のことで、それ以前に聞いた話では 「紀北、特に野上町なんかはすごいよー。」  和歌山弁で言うと 「がいなことおるでー」 とのこと。
確かにここにはラミーが多い、だけど何か気になることが・・・


 3頭います

何故かアキニレ(だと思う)に鈴なり。
近くにカラムシもあってその葉上にもいるがアキニレの方が圧倒的に多い。しかも葉を後食している。他の地域でもそうなのか・・・? 実家の周りでも確かめねば・・・。
ちなみに紀南地方ではアキニレでカブト・クワガタが採れるとか。


美しい2頭


余談ではあるが私がニシキを探し始めた頃、近所の山もここ黒沢山へも何度も足を運んだが長年見つけることができなかった。  というのもその頃の図鑑に「イワフジで発生」と記されていたからだ。  
さて、そのイワフジとはどんな植物なのか?  植物図鑑、樹木の図鑑、山野草図鑑等を調べても分からない。 誰に聞いても分からなかった。
それでも「フジ」とつくことから蔓性植物を連想し、時々思い出したように探しに出かけたがなんの成果もあげられなかった。

その後「カメムシ先生」として名高い後藤伸先生(故人)により若令幼虫のホストがツゲであることが発見されたことを知った。  ああなんということか・・・それまで目当ての虫のすぐそばを何度も素通りしていたとは・・・。
県下の2つのポイントに特異的に自生する植物に着目すれば・・・いや自分にはムリだっただろうな。
なお「イワフジ」は今でも不明なままである。
虫に近づくにはもっと植物のことを知らねば、「将を射んとすればまず馬を・・」だな。



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