2007年 6月  激走紀伊半島



07.06.5 (火
)  再び紀南へ 
                                                                                                  

数日前に九州が梅雨入りしたらしい。
近畿地方まで前線が上がってくるのも時間の問題だろう。
というわけで今のうちに少し遠くまで足をのばしてみよう。  思い切ってチェックしたい場所を全て回ることにした。
遠出といっても一応県内なのでたかが知れているはず・・・だけど・・・。


目的の虫は3種、その内1種でも見つけられればよしとしよう。

ククビアカモモブトホソカミキリ


早朝から車を走らせ高速を南へ。
終点から30分位で第一チェックポイント

ここで以前一度だけ見かけたクビアカモモブトホソカミキリをもう一度見つけたくて来たわけだが・・願いが叶えば実に7年振りだ。。

目指すはソヨゴという木、地元では花が満開の時期をむかえようとしている。

花が・・・終ってます。


紀南の暖かさを侮っていたつもりはなかったが読みが甘かった。
それでもダメもとでルッキングしてみる。 ここではこの木をホストにしているはずだし、以前見つけたのもこの時期だったから・・。
いくつものソヨゴを丁寧に見ていく・・・・1時間経過・・・ダメでした。

まあこのカミキリは近畿では珍品らしいし、私ごときが狙って見つけようなどとムシがよすぎると自分に言い聞かせてポイントを後にした。
しょっぱなの軽いギャグを飛ばしたつもりで次の獲物を目指す。

アカスジキンカメムシ


ニシキキンカメムシとともに美しさの点で双璧をなす大型のカメムシ(沖縄地方のナナホシは別として)である。
この地方ではシキミという木を栽培しているところが多く、幼虫がその実を吸汁しているのが観察される。

普通種であり、このカメムシのつく木も何種類もあるにもかかわらず今までこのポイントでしか見たことがない。
詳しい人に聞いても「わりとどこにでもいるよー。」と教えてくれるが、自分の探し方がわるいのだろうか・・・。

それでも過去3回このポイントで見つけ、スカをくらったことのないポイントなので今回の「保険」的なポイントつもり。  さあ5年振りのアカスジは。

実は猛毒らしい。


あらら・・写真では分からないが防風林がわりのスギが全て切られている。
その林縁部でたくさんいたのにこれじゃあ日当たりがよすぎるかも。
ざっと見てみたが何もいない、虫自体が見つからない。

しかたなくとなりの園地へ、こちらの方が少し影の部分があるのでちょっとはマシかも。
葉裏とかも入念に見てみる、・・おっ何か丸いシルエットが。


だまされた。


肝心の虫は見つからずかわりにいたのは・・

グンバイムシの仲間

大発生している。 黒い点はおそらくグンバイムシのフンだろう。 ほとんどの葉裏についていた。

園主の方がいたので話を伺うと
「緑の大きなカメムシ・・・?  うーん茶色いのならいたけどねえ・・」
茶色いのか・・クサギかさっき見かけたハラビロヘリカメムシだろうか。
スギがなくなって環境が変わっていなくなったのかも。  たかがスギの十数本だが小さな虫にとっては大激変だろうな・・。

日も高くなりかなりの暑さになってきたし、しかたなく諦めることに。
しかしどうしたものか・・残るターゲットの情報もかなり古く今回最もダメもとな虫。
しかもその場所が遠い。 黒潮洗う本州最南端串本。
うーん・・でも今回行かないと次はいつになるやら。
意を決して車に乗りこむ。 ルートは半島横断コースを行くことにした。

最近世界遺産に登録された熊野古道沿いを延々走る。

ちょっと寄り道

しかし・・アカスジは確実に見れると思ってたのに・・・。
この時期なら幼虫・成虫の両方が見られるはず・・・ん・・幼虫?
園主の言葉が頭に浮かぶ、そういえば幼虫は茶色。
正確には茶と白のツートンだがもしかするともしかするかも。
でもここまで走ってきて今更引き返すわけにもいかないのでなるべく考えないようにしてアクセルを踏む。

途中、たんぼ水族館なるものを発見。 地元の小学生が管理しているビオトープらしい。
少し見てみたが、つい最近畦道の草を刈り取ったばかりのようで何も見られず。

新宮、勝浦を経て熊野灘を眺めながらひたすら南下、串本へ到着。  ああ遠かった。
 
タガメ

私が生まれた頃は家のまわりにいくらでもいたらしいが自分自身は記憶になく標本や水槽に入れられて展示されたものしか見たことがない。

実はこの場所は8年位前に来たことがあり、その時もタガメは見つけられなかったのだが田圃で仕事をしていた方と話をすることができた。
その時の話・・「一昨年あたりまでは業者?みたいな人が毎年捕りにきてたけどねー、来なくなったということは(タガメが)おらんようになったんかねえ。  ずうっと前は田植えの時よく刺されたよ」
タガメが人を刺すとは・・ちょっとびっくり。  まあマツモムシに刺された経験があるので信じられなくはないが・・あれはかなり痛かった。

さて今あの場所はどうなっているだろうか・・8年前は半分近くの田が放棄されていたが・・。
減反政策恐るべし

涙と草で何も見えないや。
田圃はかなり前に放棄されたらしく田も畦も分からなくなってしまっていた。
もしかしたら資源が回復しているかもという甘い考えが・・・。
読みの甘さでは誰にも負けない気がしてきた。

またまたダメもとで小川を探索、普段は網を持たないなぎさだが今回は持参、魚捕り網だけど・・。
草の根際を掬ってみると。

イモリ、ヤゴ、エビ、ゴミ



エビはどうやらヤマトヌマエビのようだがヤゴの種類は???4種類位はいるようだ。
いやいやヤゴやエビを捕りにきたんじゃない。 とめぼしいところを何度も掬ってみる。
が、網に入るのはイモリ・ヤゴ・エビの3点セット
これだけ生き物がいるということはタガメのエサになっている可能性も、と思いエビやイモリと格闘。
オタマジャクシでもいれば可能性も上がるのだが止水域が全くない。
1時間近く経過・・・川漁師廃業。

田圃がなくなっているのだから当然だがあたりには人っ子一人なく情報収集どころじゃない。
調整池のような所がないか谷を遡ってみたが見つけられない。
途方にくれて熊野灘を眺める・・
”天気晴朗ナレドモ浪高シ”
帰りの道のりを考えるとすでにかなりのタイムオーバー、しかたなく(以下同文)

帰り道がまた遠い


ダメもとでやってみて本当にだめだったという見本のような一日だった。
家にたどり着いたのはPM10:00を少し回っていた。
本日の成果   帰りの自販機でコクワ♂を拾っただけ。
「泰山鳴動してコクワ一匹」とはまさにこのこと。
走行距離は400kmを越えていた・・・・軽トラの・・・。

江戸の昔に長崎から侵入してきたラミーカミキリという外来種がいる。 今やその勢力は関東を席捲し、年々分布を広げつつあるらしい。 もちろん実家のまわりにもたくさんいる。
ところが田辺あたりまでくると全く見られない。
彼等にとってもやはり紀南は遠いらしい。  


お目にかかった虫達


ハラビロトンボ・ショウジョウトンボ・エビイロカメムシ・ハラビロカメムシ・ルリクチブトカメムシ・グンバイムシ・ハムシ多種・リンゴ系カミキリ・アオカミキリモドキ・コガネムシ・コイチャコガネ・シマゲンゴロウ・その他大勢

こんなふうにどうでもいい虫を列挙してお茶を濁す私。



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